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湊かなえ リバース読了

玉森裕太出演、TBS系 金曜ドラマ リバースの原作になった、湊かなえさんのリバースを読了。

 

※ネタバレ感想注意※

あくまで、「原作を読む気は無いんだけど原作の結末を知りたいな…」「ドラマと原作の違いが知りたい(>_<)」という方は読んでいただいて構わないと思います…

 

ドラマでどんな結末を迎えるか私もさっぱり予想が付かない。

 

 

 

 

リバース (講談社文庫)

リバース (講談社文庫)

 

 

完全に玉ちゃんのドラマ出演をきっかけに読んだ。だけど何これ……面白すぎる……

 

金曜ドラマ『リバース』|TBSテレビ

 

ドラマとほぼ同時進行で第3章までは行ったんだけど、後半の怒涛さと結末への興味から一足先に犯人を突き止めてしまった…。

 

 

前半のドラマとのリンクぶりは見事。ドラマキャストを知り、見て、からの読書の想像の容易さは楽しく、いつものこと。素晴らしくあさみんがかっこいい!!!あさみーん!!!原作ではあさみんは社会の先生。そして女子生徒からのちやほやは無し。同僚の女性教師から少し気になる存在程度で扱われているけどそれくらい。

 

そしてドラマだと深瀬のどもりっぷり、ドジっぷりがフューチャーされていて、それはそれは藤原竜也さんの演技と解釈の素晴らしさ。監督や脚本家との話し合いの結果かもしれない。原作では深瀬のどもり、ドジっぷりはあまり無く、地味というレッテルに対してすごく後悔を持ってる。中学高校時代と地味で過ごし、成績が悪い奴ら、俺を空気に扱う奴らめ、と大学ではそんなこともなく同じ学力を持つ友達ができると、そんなやつらとはおさらばだと都会への大学受験に躍起になった男として描かれています。

 

そして一番の違いは広沢。ドラマでは小池徹平というザ・可愛い系男子だけど、原作では体格が良く、それ故の威圧感があるが、優しさの塊、という男…。優しさの点に関しては小池徹平の雰囲気が醸し出す柔らかさに通じる部分があるが、体格に関しては真逆。深瀬はこの、一見クラス内のカーストでは上位グループに属していそうな広沢が、優しさ故に、性格故に地味グループとつるむという点に共通点を見出し、彼こそが初めての親友だ、自分こそが彼の親友だという自負の元で、進んでいきます。(すごい偏見のある言葉しか言えないんだけどそこまで深瀬の性格はねじれてないです…)

 

私は割と実写化する前に読書して、それとキャスティングの違いを楽しんだりする人なのですが、今回は致し方なく。

昨日あたりに母から(母はドラマのみ見てます)「戸田恵梨香が怪しいんじゃない?」と言われて美穂子を怪しんでいました。

 

結論から言うと(原作上での)美穂子が脅迫文の犯人でした。美穂子は広沢の元カノ。美穂子もまた、深瀬と同じように自分の知らない広沢を求めて、大学のゼミ仲間である深瀬村井浅見谷原に接触し彼を知ろうとしました。ごく自然に接触し昔話を聞く程度で。(はじめは、浅見に広沢の親戚として接触した美穂子ですが、堅苦しい情報しか聞けないとわかり、方法を変えました。)この4人なら広沢の最期も楽しかったに違いないと確信した美穂子ですが、深瀬だけは関係を続けたいと接触をし続け、交際に至ります。(広沢から深瀬の話を聞いており、実際に接触して深瀬の人となりに好意を持つのです)ここで脅迫文が届くのですが、これはあくまで美穂子のストーカーか何かによる、ただのイタズラだったのです。ですが深瀬は、後ろめたい過去があるが故に美穂子に広沢の事件の全てを話してしまいます。広沢の飲酒の事実も…それを知った美穂子はこの事件のことを彼ら4人に忘れて欲しくはない、と考え他の3人にも脅迫文を送り、一連のものとして彼らをはっとさせたのです。そしてなぜ谷原はホームに突き落とされたかというと、その日にあった社会人野球の試合に谷原は車で来ていました。その後打ち上げがあり、車で来ているというにもかかわらず彼は飲酒をします。そして事もあろうに車で帰ろうとしたのです。それを美穂子が引き止め(彼女はこの野球チームにマネージャーとして接触していました)電車で帰宅する際に谷原は、広沢の事件を気にもしない飲酒運転に関する心無い言葉を美穂子に発し、怒り震えた美穂子が突き飛ばしたという事です。谷原は美穂子に突き飛ばされたと認識できないほど酔っ払っていたのです。

 

そしてここで気になってくる、ドラマではすごくキーとして扱われている、広沢の事故は運転ミスによる、飲酒による、ものではなく、そもそも誰かに仕組まれたものなのではないか?という点です。原作ではそもそも武田鉄矢役のジャーナリストは描かれていません。そう、そもそもそこまでこの広沢の一件の事件性はピックアップされていません。村井が、深瀬に投げかけます。浅見は広沢に家庭教師を奪われた事で根に持って車を運転させるように仕向けたのだと。でも憶測の域はでませんでした。

 

最後、美穂子の行動の事実を知り、話し、全てを知った深瀬は美穂子と和解(的な)をします。そこで美穂子は深瀬が広沢のことを綴ったノートを見たことから自分も書くといい、美穂子が知っている限りの広沢についての情報で埋めていきます。そこで深瀬は広沢の一つの情報を知りました。「広沢由樹は蕎麦アレルギーだ」これを知った深瀬は合点します。なるほど、通りであの日の昼、広沢は蕎麦を食べずにカレー屋さんへ駆け込んだのだと。深瀬がせっかく下調べしてくれた蕎麦屋を、アレルギーだと言ってしまうと、そうか、それは店を変えようと4人でカレー屋に行くことになる、と。広沢故の気遣いだったのだ。

 

美穂子と和解の話し合いは実はクローバー・コーヒーで行われていました。話合い後にはマスターにコーヒーを淹れてもらい、深瀬がマスターに勧めたハチミツコーヒーを、マスターがすっかりハマってしまったことを奥さんから知らされます。どのコーヒーにはどのハチミツが合う、という組み合わせの奥深さにすっかり魅了されたマスターは深瀬と美穂子にも勧めます。マスターが淹れてくれたエスプレッソをお湯割し、そこへマスターお勧めという、一見、茶色いハチミツを投入します。美穂子も深瀬もコーヒーに入れる前、ハチミツ自体を試食するとその茶色さと濃さゆえに、ハチミツと言われなければわからないほどカラメルソースに近い味だと感じます。このハチミツに深瀬は見覚えがありました。そう、4人で出かけた、広沢が亡くなってしまった日の昼にSAで深瀬が買ったハチミツ。そこで奥さんからこのハチミツはなんの蜜だと思うか、と問われます。あの時買った瓶のラベルには詳細は何も書いて無かったと記憶していた深瀬は、この濃さと、樹液を感じた味からリンゴの木では?と答えますが、正解は蕎麦の花と奥さんから告げられます。蕎麦の花……蕎麦……………。

 

事故直前、飲酒をしていながらも村井を迎えに行くと出て行った直前、広沢に深瀬はコーヒーを入れ、魔法瓶にこのSAで買ったハチミツと共に入れたのです。(ドラマではこのシーンは無買った気が…)

 

 

広沢を殺したのは………俺だったのか。

 

という言葉で本編が締めくくられます。

 

 

こんな終わりある?!?!?本当に最後の最後のワンシーンで自分が広沢を殺してしまったんだ、蕎麦アレルギーの発作で…と知った深瀬のその後は描かれていません。この興奮に思わず通勤中のバスで首をもたげてしまったよ……。

 

だいぶストーリーを端折ってしまいましたがドラマとの違い、結末の驚きを味わって欲しかったんだけど伝わっただろうか……。

 

村井が広沢の一件を事故ではなく事件として捉え、そして谷原がホームに突き落とされるところまでは大方原作とドラマで違いはありません。ですが原作ではその後、深瀬は有給を使い、広沢の田舎に向かい、あの、広沢について書いたノートを埋めようと幼馴染から高校時代の友人を訪ねるのです。そこで、美穂子が広沢と高校が一緒だったり、また深瀬と同じように広沢に固執した、高校時代の広沢の友人に出会ったりするのです。

 

ドラマとだいぶ後半で違ってくるような気がするので結末はおそらく違う気がします…。ドラマの中では、SAで深瀬がハチミツの小瓶を買うシーンは描かれていますが、村井を迎えにいくと別荘を出て行った広沢の手には魔法瓶はなかったことからも結末は違うでしょう。

 

ということでドラマの結末が非常に楽しみ